YPAMとは

YPAM(ワイパム、横浜国際舞台芸術ミーティング)は、同時代の舞台芸術に取り組む国内外のプロフェッショナルが、公演プログラムやミーティングを通じて交流し、舞台芸術の創造・普及・活性化のための情報・インスピレーション・ネットワークを得る場です。1995年に「芸術見本市」として東京で開始し、2015年からはアジア・フォーカスを強化し、アジアとの共同製作にも参画。25年以上の歴史を経て、アジアで最も影響力のある舞台芸術プラットフォームのひとつとして国際的に認知されています。職業的目的に特化した一部のプログラムを除き、ほとんどのプログラムは一般のお客様にもご参加いただけます。

横浜国際舞台芸術ミーティング2023(YPAM2023)

会期:2023年12月1日〜17日

※詳細は10月上旬に公開予定です。


横浜国際舞台芸術ミーティング2022(YPAM2022)

会期:2022年12月1日〜18日
主会場:KAAT神奈川芸術劇場、BankART KAIKO、横浜赤レンガ倉庫1号館、廣東會館倶樂部、Amazon Club ほか
主催:横浜国際舞台芸術ミーティング実行委員会(公益財団法人神奈川芸術文化財団、公益財団法人横浜市芸術文化振興財団、特定非営利活動法人国際舞台芸術交流センター)
共催:横浜市文化観光局、公益社団法人全国公立文化施設協会
助成:公益財団法人セゾン文化財団
協力:BankART1929、特定非営利活動法人黄金町エリアマネジメントセンター、横浜中華街発展会協同組合
後援:外務省、神奈川県、国際交流基金
令和4年度文化庁文化芸術創造拠点形成事業

01.jpg êVÉçÉS_eng.png 【A3横】公文協ロゴ_page-0001.jpg かながわ県民文化祭マーク.png

主催者からのご挨拶

理事長_玉村和己(2022最新).jpg

玉村和己

公益財団法人
神奈川芸術文化財団 理事長

昨年より「TPAM-国際舞台芸術ミーティング」から名称を変え、新たに生まれ変わった「YPAM-横浜国際舞台芸術ミーティング」を、今年も横浜で開催致します。改めて、この催事を支えて下さる多くの皆さまのご尽力に深く感謝申し上げます。

今年の「YPAMディレクション」では、世界各地の中華街に住む様々な来歴の家族とのコラボレーションを通して、中華アイデンティティとローカル・アイデンティティのあり方を探るヤン・ジェンの作品『Jasmine Town』の世界初演など、同時代性に富んだ作品を多く紹介致します。

私どもはKAAT神奈川芸術劇場の全施設を会場として提供するとともに、アーティストの創造を最大限バックアップし、主催団体として劇場一丸となって本催事に取り組んでまいります。

未だ新型コロナウイルス感染症の収束が見えない中、舞台芸術の可能性を追求し続けるこの催事が、地域の皆様と芸術文化との新たな出会いと交流の場となるよう心より願っております。

Seiichi Kondo .jpg

近藤誠一

公益財団法人
横浜市芸術文化振興財団 理事長

舞台芸術は新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けました。そうした中、YPAMとなって2回目の開催をできることに感謝申し上げます。

コロナ禍での船出となったYPAMですが、新たな運営システムの導入やフリンジセンターの発足など、舞台芸術の発信地としての横浜の認知を高め、舞台芸術への関わりや理解が一層地域に広がる試みを行ってまいりました。

また、地域住民との協働による国際共同製作や、フリンジ会場のユニークベニュー開拓など、地域や企業・関係団体等との連携強化にも取り組んでいます。YPAMが持つ国際的プラットフォームと地域とのクロスオーバーが生み出す様々な社会的効果に期待いたします。

ここ横浜に会場を移して11年、新たなYPAMのステージで、様々な交流、出会いが地域社会に広がり、潤いをもたらすことを願っています。

maruoka_Photo by Hideto Maezawa.jpg
Photo by Hideto Maezawa

丸岡ひろみ

特定非営利活動法人
国際舞台芸術交流センター 理事長
横浜国際舞台芸術ミーティング
ディレクター

YPAM(横浜国際舞台芸術ミーティング)は、「舞台芸術」「パフォーミングアーツ」という語で緩やかに名指される演劇・ダンス・パフォーマンスなどの実演型・遂行型・参加型芸術に取り組み、その創造・普及・国際交流に従事する人々、および一般の舞台芸術ファンのみなさまが集まるプラットフォームです。1995年に「TPAM」として東京で開始、2011年から横浜で開催し、国内外から多数のプロフェッショナルが集まる舞台芸術プラットフォームとして国際的認知を確立しました。

2020年3月のパンデミック宣言の直前、TPAM2020には海外44ヵ国/地域から476人、国内から486人の舞台芸術関係者が集いました。TPAM2021(2月)、YPAM2021(12月)はほぼ国境が封鎖された状態での開催となりましたが、『福島三部作』、そして劇団態変「さ迷える愛・序破急」三部作という、ライブパフォーマンスを行なうこと・観ることの意味の根源に触れる作品を上演でき、TPAM/YPAMフリンジにも多くの公演に参加していただきました。今年10月には日本への入国制限がほぼ解除される見込みとなり、再び海外からの参加者をお迎えできそうです。

一方、この間に急速に進化・普及したオンラインコミュニケーションツールにより、リアル/ヴァーチャルのハイブリッドによる交流が常態化しました。この文章を書いている今、私はソウルで開かれている「PAMS – ソウル舞台芸術見本市」に参加していますが、まさにハイブリッドを前提として国際交流イベントを再構築しようとしている現場に立ち会っており、この流れに不可逆性を感じています。他のプラットフォーム同様、YPAMもこの流れをポジティブに解釈し、TPAMの実績を継承しつつ、ローカルと世界をつなげるプラットフォームとしての新しい構造を模索しています。

YPAM2022は、主催公演プログラム「YPAMディレクション」、各種のミーティングから成るプロフェッショナル向け交流プログラム「YPAMエクスチェンジ」、そして誰もが参加できる公募型フェスティバル「YPAMフリンジ」の三つを柱とし、横浜と海外の芸術文化団体との特別協力による「YPAM連携プログラム」を交えて構成されています。

旧TPAMディレクションでは複数のゲストディレクターとYPAM事務局が選んだ作品をその時々の文脈で、とりわけ2016年以降は東南アジアにフォーカスして紹介してきましたが、TPAMからYPAMに変わり、横浜でじっくり取り組んだプロジェクトを世界に紹介していくという軸を加えてそのあり方を更新しようとしています。

YPAMの委嘱によるヤン・ジェン(中国)『ジャスミンタウン』は、東アジア最大の中華街と言われる横浜中華街を皮切りに、世界各地の中華街で共存するさまざまなアイデンティティのあり方をリサーチし作品を作るというプロジェクトです。YPAM2021にてプロジェクトの概要紹介を兼ねたワークインプログレスを上演したあと、今年の夏から秋にかけての横浜でのリサーチとクリエーションを経て、YPAM2022で世界初演します。この作品はすでに海外4都市での国際共同製作が決まっています。ファイブアーツセンター(マレーシア)『仮構の歴史』は、マレーシア史上初の政権交代が起こった2018年にTPAMが委嘱し、2019年にワークインプログレスとして発表した作品の完成版です。ベルギー、マレーシアでは今年すでに上演され、今後タイでも上演されることになっているなど、パンデミックをまたいで完成に至った実例でもあります。そして日本のアーティスト・コレクティブであるオル太の『ニッポン・イデオロギー(仮)』は、『ジャスミンタウン』に続いてのYPAM委嘱作品となり、今年はワークインプログレスとして発表、来年に完成版を上演する予定です。

今回のオープニングを飾るブラレヤン・ダンスカンパニー(台湾)『LUNA』は、台湾先住民・ブヌン族の歌と儀礼に取材して作り上げられたダンス作品です。振付家もダンサーたちの多くも他の先住部族出身であり、アイデンティティの探究は「先住」という言葉が含意する懐古性ではなく(この理由で、台湾では「原住民」という言葉がより適切とされます)、強い同時代性を感じさせます。この作品の招聘は、TPAM時代から継続的なパートナーシップを組んできた台湾文化部、台北駐日経済文化代表処台湾文化センター、国家文化芸術基金会のご協力により実現しました。この場を借りてお礼を申し上げます。

YPAMエクスチェンジでは、テーマを公募してのミーティングプログラムやシンポジウムを横浜中華街にある廣東會館倶樂部で実施します。2022年は、日本、中国、台湾にとって外交的、歴史的な節目の年でもあります。その歴史に翻弄された人生と記憶を包含する中華街が存在する横浜において、この年にYPAMが初めて「チャイニーズ」にフォーカスすることになったのは偶然ではありますが、これらのプログラムが多様なリアリティに関する同時代的な考察につながれば幸いです。

2020年までのTPAM参加者にはおなじみ、毎晩深夜まで交流と議論が続いたレイトナイト・ミーティングポイントAmazon Clubが、嬉しいことに、パンデミックを乗り越え新店舗で営業を再開しました。参加者のみなさまとまた「アマゾンで」お会いできることを楽しみにしています。

長期的に継続する自由な舞台芸術フェスティバルとしての存在を確立するため去年から注力しているYPAMフリンジでは、会場を横浜・神奈川に限定し、横浜市中区初音町に新たに「YPAMフリンジセンター」をオープンしました。すでに営業は開始しています。飲み物のご用意もございますので、お気軽にお立ち寄りください。また、登録公演の情報を集めた冊子の配布、新たな会場開拓のためのユニークベニュー活用案公募、会員制の支援組織「YPAMフリンジソサエティ(仮称)」の準備会立ち上げなど新しい取り組みを行なっています。

横浜と海外の芸術文化団体との特別協力による「YPAM連携プログラム」については、詳しくは各プログラム情報をご覧いただければと思いますが、モントリオールの舞台芸術プラットフォーム・CINARSからの作品紹介が再開できたことは感無量です。

末筆になりましたが、企画や場所、資金などにおいて新たにご協力をいただきました関係者の皆様、そして何より参加者の皆様に深く御礼申し上げます。

催事沿革

過去の開催概要